印刷業界は常に技術の進歩を先取りすることによって進化を続けてきたものです。以前はフィルムを手貼りで行っていた製版作業も、デジタル化によってパソコンによる作業に変わっています。オフセット印刷機においても、職人が長年の経験で行っていた品質管理をデジタル化によって楽に行えるようになっています。このようにこれまでは経験と勘に頼る作業がデジタル化によって手軽に行えるようになってきているわけです。

そして現在では、欧米では主流となりつつあるデジタル印刷機、いわゆるオンデマンド機が日本でも普及するようになっています。これは今までの作業の流れを一変させる画期的な仕組みを持っています。従来であれば、クライアントが持ち込むデータを元に4色にカラー分解した上で、オフセット機にセットするアルミ版に焼き付けるためのフィルムを作る製版作業を行う流れとなります。その部分においても、データから直接アルミ版に出力するCTPが普及して作業を簡略化しています。

そしてそのアルミ版をオフセット機にセットし、インキを乗せて印刷するわけです。ところが、オンデマンド機の場合にはデータを直接取り込むことで、すぐに用紙に出力する形となります。大幅に作業を短縮していることにより、納品が極めて速くなっています。課題としてはオフセット機のように一時間に数千枚というスピードでの出力はできないので、少部数による注文がメインとなっていることが挙げられます。